啼けよウグイス、高らかに

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 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇  内野の観客席を覆う銀傘が南空に昇った太陽を反射した。  あたしは本物のダイヤモンドを見たことがないけれど、それよりも眩しく美しい光だと思った。  黒土はこれからの熱戦を支えるため、しんと静まりかえっている。均等に刈られた青々とした芝が、撒かれた水を全身で吸い込んでいた。  すうっと息を吸いこんだ。喉は透きとおるよう。まっさらな空気がそのまま肺へと向かう。肺に新鮮な空気がたまり、あたしは膨らんだ胸にあわせて背筋を伸ばした。真っすぐと青空に向かった。  向井くん、君はおぼえてる? 『九回裏、正文館高校の攻撃は、三番、ショート、向井くん』  あたしの声は雲ひとつない青空へ抜けていった。  向井くん。  君との約束、ちゃんと果たしたよ。  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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