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「その後処理を任されたのが、叔父である康介さんだった」
桜井が暗い声で言った。
「康介は淡々と義務を果たすみたいでした」
「そんな事があって、なぜあなたは康介さんと結婚を?」
運転していた須藤が信じられないという口振りでそう問うてきた。
「あの頃は由香の事を守っているナイトの様に感じてしまったから」
そこに由香の後押しが加わって、結婚する事になった。由香にしてみれば秘密を知っている私と共犯関係にある康介を同時に監視出来ると安堵したのかもしれない。
「由香が羨ましいなんて言ってしまった罰なんです」
それは由香の心を抉るような行為だった。
「それでも私は由香の側に居たかった」
病院へ向かう途中、何度もパトカーとすれ違った。須藤もそれを気にしている様だ。
「もう間も無く到着しますが……」
「やっぱり会うのは諦めます」
「え?」
「このまま警察に自首します」
「良いんですか」
「私が行けば大騒ぎになるでしょうから」
これ以上、由香の負担になる事はしたくなかった。私が康介を殺害した事と由香のした事は関係ないのだから。それでもマスコミはこの二つの事件を無理やり結び付けるだろう。
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