1話:序章

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1話:序章

西暦2020年1月 防衛大学校寮 岡本晃司(おかもとこうじ)「おはようさん、忠和」 渋野忠和(しぶのただかず)「ようおはよう、晃司」 晃司「いよいよ今年で、俺ら4年は最後の学期、最後の講義やな」 忠和「ほんとだな、考えてみたら、早いもんだったな」 晃司「ほんま、色々あったとは言え、すぐやったな」 忠和「うん、まあそれにしても、お前が自衛官に任官する意思が固く    なるとはな」 晃司「散々迷ったけどな、これには深い訳もあってな」 忠和「訳って言っても、なんかお前、園田さんに出会ってから急に    変わった様に思うぞ」 晃司「はは、ばれてるな。まあお前にはいずれ、詳しく話してもええよ」 忠和「まあ訳も聞かずに、こういう言うのもなんだけど、女によって男の    意志が変わるとは、ちょっと不甲斐ないとこもあるんじゃないか?」 晃司「まあそう言わんでおいてくれよ。    一花かって俺の彼女であると同時に、立派な自衛官を志す防大生    なんや、その影響つうのもあるやろ」 忠和「まあそうだけどな、人の影響と言うのは多かれ少なかれ受けるもの    だからな」 晃司「そういうことにしといてくれ。    女で思い出したけどお前、井上さんとはその後どうよ、あんまり    聞いて無かったけど」 忠和「そうだな、まだ紹介してくれて間もないけど、俺にとってはかなり    いい女性だと思うよ」 晃司「そうなんか?どう言うとこら辺がや?」 忠和「今日はえらくつっこんで、聞いてくるな」 晃司「ええやないか、紹介した手前もあるし、一花の立場もあるからな」 忠和「そうだな、まあ紹介してもらってまだ日が浅いから、そんなに進展は    してないんだが、彼女は色々と積極的で言われた通りまじめな感じ    するよ。そこが気に入ってるってとこかな」 晃司「そうか、お前もまじめなやつやもんな。    性格は違うほうがあうとかいうけど、同じ様な性格でも、    それはそれで気があうんかもしれんな」 忠和「とは言っても、まだまだこれからどうなるかわからないぞ」 晃司「そらまあそうや、紹介してまだ一か月も全然たってないのに    どうなるか、わかったもんやないわな」 忠和「でもまあ、あれだな、彼女候補でもいたら、毎日の生活に活気が    より出るよな」 晃司「そらそうやろ、ちゃんとした彼女になったら、そらええもんやぞ。    それはお前も分かってるんやもんな」 忠和「一応そうだな。とは言え高校の時は今よりずっと楽な生活だったし、    そこまで女に対しては意識しなかったかもな」 晃司「そやな、俺らもう4年やけど、最近までお互い彼女もおらんで、よう    頑張って来たもんやな」 忠和「ほんとにな。1年の時なんかゴミ同然だったな、2年でやっと奴隷って    とこか、3年でやっと人間扱いってな感じだったな、上級生とかに」 晃司「ほんま、俺なんか自衛官になる意思もなくて、よう続いたもんやろ」 忠和「そこは自慢する所か?お前らしいな」 晃司「そんだけ学業に対する、熱意があったってことやな俺は」 忠和「興味ない科は、及第点すれすれの分際で、よくいえたもんだな本当に」 晃司「なんでもええやないか。それにしてももう行く頃や、着替えもしたし    行こか」 忠和「そうだな、じゃそろそろ行こうか」     そのとき突然辺りが暗くなり、奇妙な声が聞こえてきたのだった。        ・・またこの時が来た。       再び君たちに試練を与えよう・・     急に空間が歪んだ様な感じに、晃司と忠和はお互いを確認し合った。 忠和「おい晃司、聞こえるか?何だこの声と感覚は?    誰がしゃべってるんだ?・・」 晃司「またこの現象か、忠和この体験は以前、俺はしたことがあるんや。    もし一緒に居て、話せたら詳しい話は後でする・・」     しっかりしていた2人だったが、2人とも意識が遠のき、     ついに、気を失ってしまったのであった。 同じく同時期防衛大学寮 園田一花(そのだいちか)「おはよう、胡桃」 井上胡桃(いのうえくるみ)「あ、おはよう、一花」 一花「ああ、よく寝たよ」 胡桃「いいわね、よく寝れたようで」 一花「どうしたの?ひょっとしてあんまり眠れなかったの?」 胡桃「うん、まあちょっとね」 一花「どうしたの?めずらしいね」 胡桃「私だって眠れないときくらいはあるわよ」 一花「でもよく考えてみたら胡桃ここのところちょくちょく、眠れないん    じゃない?」 胡桃「うーん、まあどうしたのかな、ちょっとここのところ体調    崩してるのかな」 一花「それは心配ね。ってひょっとして、渋野さんの事考えてるんでしょ」 胡桃「こら、そんなに図星を言わないの!」 一花「やっぱりそうだったの、ごめん」 胡桃「そんなに真に受けなくていいのよ、ほんとにあんたは」 一花「でも眠れないほどって、心配でしょ」 胡桃「恋愛というほど進展してないけど、これも健康な女の証よ」 一花「そう?意外に胡桃も、男の人に関しては神経質なとこあるんだね」 胡桃「意外ってなによ意外って、これでもデリケートな、乙女心の持ち主    なんだから」 一花「そうよね、普段勝気で積極的なイメージが強いから、一緒に居ても    忘れてたよ」 胡桃「あんたはいいよね、岡本さんと完全に恋人同士で」 一花「それはそうと、眠れない程ってなんかあったの?」 胡桃「特にこれと言って、何もあったわけじゃないけどね」 一花「でもちょくちょく眠れないなんて、ちょっと心配になるよ」 胡桃「まあ折角結構ないい男を、ものにできそうな状況なんだから、    そりゃ心配事も増えるよ」 一花「例えば?」 胡桃「あくまで防大の成績だけど渋野さんって、岡本さんと比べても各科に    むらが無くて上位の方なんでしょ?私なんか相手にされるかどうか」 一花「胡桃らしくないよ、いつもの積極的な胡桃はどこに行ったの?」 胡桃「そうね、私らしく無かったね、一花に言われてはっと思ったよ。    気をしっかり持って行くよ」 一花「そうよ、心配しなくても恋なんて、なるようになるんだから。    もっと気楽に行こ」 胡桃「そうだね。まあ朝食もとって着替えも済んだしそろそろ出ようか」 一花「うん、そうだね」        とその時、一花と胡桃に突然、目まいが襲ってきて、どこから     ともなく声が聞こえってきた。        ・・君たち今度は揃って出番が来た。行って使命を果たすがいい・・ 胡桃「なにこれ?変な声がする誰がしゃべってるの?目まいもする    一花は大丈夫?」 一花「私も同じ状態よ胡桃、私以前にもこんな状況があったの。    もし後で一緒に居たら詳しく説明するよ」 胡桃「ほんとに?でもだめだ意識が・・」 一花「私ももう側頭しそう・・」     2人は同時に気を失ってしまい、お互いこれ以上話せなかった
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