第二十三章 龍の子 三

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「そうですね……ずっと、晴れていて欲しいです」  俺も雨を降らせていたので、瀧澤と同類だ。そう思うと、和希の嘆きも分かる。雨を降らせる竜がいる事など、和希は最初から知っていたのだ。そして、晴れになれと願った。  外を見たら霧雨で、しかし、次第に晴れてきた。俺も、そろそろ晴れにしなくてはいけないのだろう。 「瀧澤さんは、演奏していて、悲しみにのまれる事はなくなりましたか?」 「まあね……それ処ではない程に、あれこれ、事件を持ってくる人がいるからね。家族を見ると、しっかり守れよと応援するようになったよ」  だから、瀧澤の周辺は晴れている。それは、応援している証であるらしい。  でも、それ以上に、瀧澤の音楽にしたたかさが加わり、より凄みが増してきたらしい。そして、子守歌のように優しい曲も弾けるようになった。 「私は笑顔が見たかった。その事を思い出した」  ならば、そのまま和希に報告しておこう。これで、不審な豪雨被害は無くなる筈だ。和希も不動産だけ考えればいい。 「朝食、急いで作ります。それと、竜の乗り方を教えます」  でも車の方が、乗り心地が良いと教えておこう。 水の惑星② 雨が降る日は静かに眠れ 了
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