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雨は土砂降りであったが、家に到着する頃には小降りになった。運転手にチケットを渡して降りると、雨は霧雨に変わっていて、傘の必要がない程だった。
そして、家に入るとシャワーを浴びてリビングに戻った。
「真っ先に両親と会話かと思っていた」
「塩家、人の家で寛ぐな」
いつもならば、真っ先に両親に報告なのだが、今日は雨が降っている。水の気配が強いと、影響が大きいのだ。
「…………雨が強いと、水に影響が出やすくて……前に、瓶の水を、全部、蒸発しかけた」
俺は無意識に、自分へ掛かった水を蒸発させて飛ばせているらしい。それが無意識だったので、雨を払うように、付近の水も蒸発させてしまいそうになった。
今はコントロール出来るようになっているが、気分を切り替えてから部屋に入るようにしている。
「では、先に飯にするか」
「既に食べているだろう」
塩家はテーブルに弁当を並べ、ビールを持っていた。
「まあ、飯にするか……」
今日は、天野と会話していて、賄いを食べている時間が無かった。だから、昼から何も食べていない。コックは体力勝負な面もあるので、食べられる内に食べておきたい。
「相良さんに声を掛けられたから、夜の誘いかと思ったら…………」
「違ったの?」
確かに、夜の誘いにしては、色気が無いなと思っていた。
「まあ、俺というよりも、役柄の沢渡 愁に用事があったと言ってもいいな」
「ああ、そっちか…………」
塩家は役者で、演じた役の能力を使用できる。愁というのは、陰陽師の弟子というキャラクターで、天才もしくは天災という役どころであった。
だから、愁に相談というのは、まともな相談ではない。
「御崎さんの料理は手堅いな……参考になる」
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