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「…………それだけではないよ。きっと……」
「そうだな、他にも共通点があるはずだ」
しかし、俺は相談を受けているわけでもなく、依頼されてもいない。
「さてと、俺は明日仕入れにも行くから、これで寝る」
「泊めてね」
もう来てしまったので、しょうがないだろう。
「親と一緒の部屋でいい?」
「いいよ。少し、賑やかだけど、嫌じゃない」
それに、塩家ではなく愁によると、俺の両親と祖父母は、少し話をしたほうがいいらしい。それは、話す事により、人間だという事を思い出すからだという。
「彼等は、死ぬ前にしなくてはならない事があると言っていた」
「…………死ぬなんて、そんな事は言って欲しくない」
俺は、両親と祖父母を人間に戻すのだ。その先にある死以外は、認めたくない。
「水が人であるには、様々な条件があった。それが、人間が持っているモノだ」
竜から能力を得ている祥太郎は、人間を生きた水の浄化システムだと言っていた。
「人間は、水を個にして閉じこめた檻だ」
その檻を出てしまった水は、ただの水に戻るしかない。それを、俺の兄、和希は容器に入れて保存した。
「マクロな視点過ぎると、人間も含めて、地球が一つの生き物に見えるだろう。それか、微生物が湧いている、腐った果実みたいなものか……とにかく一つのモノだ」
「水の惑星、それが一つの生き物か……」
だから、個は閉じこめておかないと、意識を保っていられないらしい。
「まあ、そんな状態だからさ。話し相手になってくるよ」
「はい、わかりました」
俺は自分の部屋に戻ると、明日に備えて眠る事にした。
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