私の不幸せな結婚

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「貴女に何の興味もないから知らないけど、一度は結婚生活を経験したんでしょう? 夫婦の営みだって経験しているし、僕よりは人生が豊かじゃないかな」  涼しい顔をして “興味もない” や “夫婦の営み” などと話され、私は傷ついたり恥ずかしくなったりしながらも、それは人生豊かとは言わないんじゃないかと思った。 「い、一郎さまは、なぜこの縁談を断られなかったのですか?」  両親の見栄や家業の為とはいえ、まだ若くこれほど器量の良い男性なら他の華族との縁談もあるはずだ。はぐらかすように尋ねると、一郎さんは私をじっと見つめて暫く黙った。 「あ、あの……?」    あまりにも長く見ているので、私は俯くしかなかった。 「噂でね、関東一の炭鉱王に華族の令嬢が殺されかけて離縁したと聞いたんだ」
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