私の旦那様

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 ——今日から私は、中野琴子になる。    宴を終え、夫婦の主寝室で二人きりになると、何も起こらないと分かっていても緊張してしまっていた。 「疲れたね」  一郎さんは見合いの時と同じことを言って、浴衣の上に羽織っていた丹前を脱ぎ、敷かれた布団に横になる。  開いた襟元にまるで女性のような色香を漂わせるから、私はそこから視線をそらした。   「一郎さんは明日も早いのでしょう?」    風呂から上がった私を見つめるその目に、欲情がないのは直ぐに見て取れた。 「僕は装飾の方だから、そんなに早くないよ」  会社は、装飾部門と工業部門があり、一郎さんは、主にこの家の一階の本店店舗でお仕事をされている。義父は親戚が仕切る工場や会社を行ったり来たりしているらしく、昼間は家にはいないらしい。 「……あの、」 一郎さんの隣に敷かれた布団に膝をついて、ふと、尋ねてみる。 「なに?」 「私は明日から何をしたらいいのでしょう?」
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