運命の日 3

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 嘘だ。  これは何かの間違いだ。    引き寄せの法則が存在するならば、これは何かの手違いだとひたすら思い込むしかない。だけど、目の前の現実は、奇跡が起きない限り、変わりそうになかった。    そっとテントの中に入ると、多くの患者が寝かされていた。診察台や寝具が間に合わず、ゴザで治療を受けている人もいる。その奥に、一郎さんはいた。 「一郎……」  義父が悲痛な声を上げる。  火傷は、背中だけではなかったようで、顔にもガーゼや包帯が巻かれていた。  半年前、暴漢に襲われて大怪我をした時よりも悲惨な状態だ。  息ができない。  くらくらする。  私は、倒れそうになる足を踏ん張った。
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