運命の日 3

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「……そ、そうだったんですか……」 「こんな足だから……逃げ遅れた僕を庇うように落ちてくる柱から守ってくれたんだ」 「……」  言葉が出ないまま、宗一さんの顔を見つめる。  包帯やガーゼでわからなかったが、ちゃんと見れば、一郎さんとは別人だ。完全に動転してしまっていた。 「宗一さんは、どうしても、一郎さんにお会いしたかったんですね」  私が夫を想うように、宗一さんも兄を想って……―  コクっと小さく頷いて、一郎さんは腕で目元を隠す。  溢れてくる涙を見せまいと、私に背を向けた。 「そして、僕のかわりに、こんな酷い目に遭ってしまった……」  一郎さんは、さきほど私がそうしていたように、宗一さんの手を握りしめた。  そして、一晩中そばで見守っていた。 ゛生きてさえいてくれたら、それでいい゛  何度もそう話しかけながら。  しかし、宗一さんは、その翌日に静かに息を引き取った。  
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