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「母さん、大丈夫? 葬儀屋の話聞いてた?」
「琴子叔母さんが無理なら、信明、お前が喪主を務めたらどう?」
父が肺の病で亡くなって半日が過ぎても、母は現実を受け止められなくて、その亡骸のそばから離れられないでいた。
「いや、母さん生きてるんだから任せるよ」
形だけでも、母さんに務めて貰わないと――。
ボンヤリする母を尻目に、俺とイトコ達で、葬儀の話し合いを進めていく。
「中野貴金属の会長が亡くなったんだから、自宅じゃなくて葬儀会場をおさえなきゃ」
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