私の不幸せな結婚

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 それでも、美しい自然と心優しい里親家族のもとで育てられた私は、無垢な心のまま、いつか優しい男性の元へ嫁ぎ、あたたかい家庭を築いていくものだと信じていた。幸せを感じられるなら嫁ぎ先は、同じ華族でも平民でも、農家でも構わなかった。  それから数年後。  一度、桜小路家に戻された私は、一代で炭坑業で成り上がった富豪の長男と見合いをすることになった。 ――まだ学生の身であるのに。 いくら妾の子供とはいえ、戸籍上は正式な桜小路家の娘、華族令のもと、父の命令は絶対であり、私は一度目の望まぬ結婚をした。
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