私の不幸せな結婚

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 自分が、父の妾の子だとハッキリ知らされたのは、里親の所から戻された後だった。  正妻である人が、自分の母親でないと知ったショックは大きく、桜小路の家に自分の居場所はないと思い悩み、それも結婚を決意する要因となったのだ。  それを、他人の口から、ましてや愛情などなくとも夫である男から浴びせられ、自尊心なるものが急激に嵩を減らしていった。どんなに困窮しようとも華族であるという誇りは持っていたからだ。それを、炭鉱を当てた成金の道楽息子に削ぎ落され、私の心は小さくなった。  いつでも夫にビクビクとし、食事も喉を通らない。  体はやせ衰え、もともとふくよかな女性を好んでいた夫は、夜も私には手を出さなくなった。 「琴子奥様は、お子ができない体らしいよ」  
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