お前だけはアカン！

作戦変更

　電車の待ち時間はまだまだある。私はこのパズルを何とか攻略しようとあの手この手を試みる。
だが、上の字は邪悪極まりなく、私の努力を嘲笑うかのように容赦なく落ちてくる。５列消してはゲームオーバー、３列消してはゲームオーバーとを繰り返すうちに、時刻は３０分すぎていた。

　私は作戦を変えつつあった。
　それは一気に４列を消すのではなく、こまめに列を消していくこと。上の字がいつ来てもいいように、地面をできる限り平らになるようにしておくこと。この２つを念頭に置きながら、地道に地道にスコアを重ねる作戦だ。

　そして電車到着の５分前。私はようやくゲームを軌道に乗せることができた。このままいけばクリアの３文字が見えてくる……。

　そのときだった。私の目の前に思いがけないものが落ちてきたのは。

「お前だけは、お前だけはアカン！」
　私は思わず叫んだ。