──それは恋心です。

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──それは恋心です。

僕はパタンと、ドアを締めた瞬間。 後ろでガタンガタンと大きな音と。 くぐもった声が聞こえた。 僕はちらりとドアを見つめながら思った。 恋心を盗られたからってなんてことはない。 生きていたら、彼女はまた誰かと新たな恋に落ちるだろうし、誰かのだってあるだろう。 「まぁ、恋心がないと復讐と恐怖心から」 ガタッとまた、後ろで物音がしたが振り向く事なく。 本当は煙みたいに消えるのがカッコいいんだろうけれども。そんな訳には行かず僕は近くに停めたコインパーキングを徒歩で目指した。 因みに車は黄色のフィアット500。 こんな形から入る真似をしても僕はルパン三世みたいになれないのは分かっていた。 それでも。 僕にできる事は。 「今はこれが精一杯。なーんちゃって」 と、舌をぺろりと出したのだった。
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