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「ジュリア、やっと起きたのですか?」
「……お母様」
広間へと入って来た母へ、ジュリアがやや鬱陶しくも感じながら視線を移した。
その傍らで、リュートが静かに頭を下げ一礼をする。
「リュート、もっと早くにジュリアを起こしなさい。もうそろそろ昼にもなるというのに」
「はい、申し訳ございません、奥様」
再び頭を垂れるリュートに、
「お母様、私がすぐに起きなかったのがいけないのよ。リュートは悪くはないわ」
そう彼女が横から口を挟むと、
「あなたは、黙っていなさい。それが、執事であるリュートの務めなのですから」
母は苦々しげに口にすると、額に皺を寄せ立腹した表情を見せた。
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