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「承知しております、奥様。次からは、もっと早くにお嬢様を起こしに上がりますので」
落ち着いた微笑みを浮かべて大人しく従うリュートに、母親はようやく怒りがほだされたように、ひと息をつくと、「頼みましたよ」と返した。
「ところでジュリア、今晩はエヴァレット伯爵夫人のお宅で、舞踏会があるでしょう？」
「……ええ」
たいして興味もない話を振られ、ジュリアが浮かない顔で応える。
「早めに仕度をして、出席をなさい」
母親の小言に、彼女が不満を露わに、わざとらしくずずっと紅茶を音を立てて啜り、
「……私は、舞踏会に出席なんか……」
ぶつぶつと口にすると、
「まぁ、なんてはしたない！ 音を立てて飲むなど！」
母は、また額の皺を深めたようだった。
「いいですか、ジュリア！ あなたももう年頃なのですから、舞踏会で似合いの男性を見つけてくるのです！」
「……私は、まだそんな……」
言いかけた彼女だったが、きつく母に睨まれて、その先を引っ込めるしかなかった……。
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