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「お嬢様……!」
やや咎めるように僅かに語尾を荒げると、リュートは整った面立ちに薄っすらと眉を寄せ憂い顔を見せた。
「もう、起きるってば……」
その表情さえもジュリアには魅惑的に見えて、ベッドから起こした身体は仄かに火照っているようにも思えた。
「ジュリアお嬢様、お起きになられるのが少々遅すぎます」
相変わらず眉をひそめたままでいる、お付きの執事のリュートへ、
「怒らないでよ…リュート。そんなに怒ると、綺麗な顔が台無しだわ」
ジュリアがそう言うと、彼は仄かに頬を赤らめたようだった。
「……つまらないことをおっしゃられていないで、さぁ早くベッドからお出になられてください」
けれど即座に気を取り直したようにリュートはそう言うと、胸に片手を添え主人であるジュリアへ恭しく頭を垂れた。
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