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男性にしては華奢にも見える若き執事は、紅茶を注ぐ仕草一つとっても、優美とも言える佇いを醸し出していた。
「リュート、あなたって本当に、憎たらしいくらいに素敵よね?」
その見目麗しい容貌を見ていたら、ジュリアはつい皮肉のひとつも言いたくなった。
「ありがとうございます。お嬢様」
頭を下げるリュートに、
「皮肉よ…そんなこともわからないの?」
ジュリアが軽く受け流されたことに、少し苛立って口にする。
「……わかっております」
口元に薄く微笑を浮かべるその顔が、彼女にはますます憎たらしくも映る。
どうしてこうも彼には勝てずに、いつもやり込められているんだろうと思ったら、ジュリアには悔しくも思えてくるようだった。
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