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「ジュリアお嬢様、紅茶のおかわりはいかがでしょうか?」
リュートに声をかけられ、ジュリアがややムッとした表情のまま無言でカップを突き出す。
「……ジュリア様は、もっとお嬢様らしい所作を身につけられないといけませんね」
カップに紅茶を注ぎ入れるリュートから、そう苦言を吐かれて、
「……放っておいて」
と、彼女はさらにむぅーっとして口を尖らせた。
「ほら、いけませんと言っているそばから、そのような真似をされて……。そんな顔をしてはなりません、お嬢様」
彼はそう言うと、尖らせたジュリアの唇に、人差し指の先で軽くふっと触れた。
「…何よ…主人の私に軽々しく触らないでよ……」
急に触れられたことに照れそうにもなって、ジュリアがわざと怒ったようにも口にすると、
「申し訳ございません、マイロード」
リュートは身体を折り曲げ、深々と頭を下げた。
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