そして、僕の恋心は奪われた

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 鈴音は1番親しい同僚だ。  ストレートな物言い、意地悪なところ。正直女性らしい部分なんてほとんど見た事ない。  でもいつだって裏表なく、真っ直ぐで。  豪快に笑う顔がかわいい。  でも天使の恋は続かない。  長すぎる時の中で、恋は色褪せていくのだ。  それは周りの天使が証言してるし、実際、天使の恋愛はゲームの様に退屈しのぎが多い。  だから、僕は怖いのだ。  今、鈴音に想いを伝えて実らなかった場合も。  もし実っても、それが鈴音にとってだった場合も。  あらゆる可能性を想像してしまい、僕にはこの恋の未来が見えなかった。  だったら最初から恋なんてしなければ、傷つかないし平和だ。  恋がなければ鈴音とは楽しくいい同僚でやっていける。  だから僕は、この想いはいつか消えてしまうまで伝えずに抱えていく。  この芽生えた想いを、悲しい記憶にしたくない。  いや、違う。僕は傷つきたくない。  ただそれだけなんだ。 「恋なんて……天使も人も、しない方が幸せなんだ」
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