0人が本棚に入れています
本棚に追加
STORY ONE 【PRISON 】
キィ………
牢屋の檻が軋む音が薄暗い空間に響く。
…もう、あれから10年も経つのね…。
もう涙も流れることのないだろう乾いた瞳で、牢屋のうちの一部屋、私の檻の中をただただ、ぼうっと眺める。もう、この生活にも慣れ、感情も薄くなっている気がする。
…このまま、死に向かうのね…。
こうやって考えるのも何回目だと、自分に呆れて、それでも何故か失笑してしまう。
…あぁ、また「死」を考えている。
この国を守る為必死に走ってきていたのに、
足止めされ、嵌められ、堕とされ…。
もう、如何して生きているのかもわからない。
生き方も解らなくなって、精神状態も、
もう大分悪くなっている気がする。既に、
そこら辺に横たわる私とは違う檻に入っている
方々を見ていても、何も感じない。きっと、
人としての感情が薄らいできているのでしょうね。
………………………。
……死にたい。そう、何回も思い、無理だった。
人の臆病さはまだ健全のようだ。
……要らない部分だけ残るのね…。
もう、こんな私に、如何しろというのか———
生きる意味も、とっくに、失っているのに…っ。
最初のコメントを投稿しよう!