STORY ONE 【PRISON 】

1/1
前へ
/3ページ
次へ

STORY ONE 【PRISON 】

キィ……… 牢屋の檻が軋む音が薄暗い空間に響く。 …もう、あれから10年も経つのね…。 もう涙も流れることのないだろう乾いた瞳で、牢屋のうちの一部屋、私の檻の中をただただ、ぼうっと眺める。もう、この生活にも慣れ、感情も薄くなっている気がする。 …このまま、死に向かうのね…。 こうやって考えるのも何回目だと、自分に呆れて、それでも何故か失笑してしまう。 …あぁ、また「死」を考えている。 この国を守る為必死に走ってきていたのに、 足止めされ、嵌められ、堕とされ…。 もう、如何して生きているのかもわからない。 生き方も解らなくなって、精神状態も、 もう大分悪くなっている気がする。既に、 そこら辺に横たわる私とは違う檻に入っている 方々を見ていても、何も感じない。きっと、 人としての感情が薄らいできているのでしょうね。 ………………………。 ……死にたい。そう、何回も思い、無理だった。 人の臆病さはまだ健全のようだ。 ……要らない部分だけ残るのね…。 もう、こんな私に、如何しろというのか——— 生きる意味も、とっくに、失っているのに…っ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加