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狭い部屋に座りっぱなしでは、いいアイデアは浮かばない。公園でスケッチブックを手に悩んでいると、ひとりの少年がこちらへと歩いてきた。
「おじさん、絵描きなの?」
ふわふわな茶色いくせ毛の子供だ。おじさんという言葉に眉をひそめる。
「おじさんって、おれはまだ十九だぞ」
「大人はみんなおじさんだよ」
「おれは……だったら、お前はクソガキだぜ」
「うん、いいよ」
「いいのか」
「子供なのは事実だからね」
「えらく達観したガキだな……」
おれは大人じゃないと主張するのも、何だか奇妙な気持ち悪さがあった。
おれは未だ、評価されずにふてくされているクソガキのままなのだろうか。それとも、冷めた目で世間を皮肉るやさぐれた大人になってしまったのだろうか。すぐに答えが出てこないので、おれは大人しくその呼び名を受け入れることにした。
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