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とある大陸に位置する小国・エストルフォは、世界に誇れるほどの美しい場所だと皆が思っているような国である。
各国との貿易の数は最も多く、住みたいと思われる国の順位もトップを維持。政治体制も教育機関も全てが完璧とされている。
それはとても誇れるべきこと――だが。
口外禁止とされている言い伝えが存在していた。
エストルフォは通称・『夢の都』。その名の通りエストルフォが栄えている理由は、古来から国に伝わる『悪夢の治療』が可能な医術があるから。国にしか原生しない植物を使った治療で、世界中で救われた人々が存在している。
そんなエストルフォにとって、その言い伝えは恐ろしいもの以外にはならなかった。
『幸福な夢を見ている最中、聞こえた声に返答してはならない。返答すれば永遠の悪夢に苛まれる』――。
実例がある、実例はない。様々な憶測が飛び交う中で、その泥棒は暗躍し続けていた――。
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