静謐な空気の中で

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 そんな二人を両親が目を細めて見守っている。 「真凛は、ナホにすっかり懐いてるわね」 「そうだな。二人は姉妹だから」 「えぇ、そうね。ナホ…… 菜穂……」 「ナホは、ナホだよ」 「そうよね。ナホ」  母親が涙ぐんでいるのを見て真凛が驚いたようだ。みるみる泣き顔になり、やがて 「ママァー」  と言って泣き出した。ナホは、真凛に近寄りそっと抱き上げる。背中をさすりながら、 「よしよし。真凛、泣かないで。真凛が泣いたら私も悲しくなるよ」  しかし、なかなか泣き止まない真凛を持て余しナホは仕方なく母親に預けた。父親は、 「ナホ。部屋に戻ってなさい」 「はい」  ナホは、真凛ともっと遊びたかったが父親の言いつけを守った。きっと良い子にしていたらまた真凛と遊ばせて貰えるから。  ナホは訳があって父親の働く研究所に住んでいる。ナホが真凛に会えるのは数ヶ月に一度。あまり会わないでいたら真凛に忘れられちゃうんじゃないかと心配になる。  あの頃のナホは、真凛に会えることを唯一の楽しみにしていたから。
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