静謐な空気の中で

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 真凛との楽しかった思い出がいくつも思い浮かぶ。 「お姉ちゃん、今日から一緒に住めるって本当?!」 「うん。お父さんから許可がおりたの」 「嬉しい!!」 「今日から宜しくね」 「うん!!」  真凛は十三歳になっていた。本当は、もっと早く一緒に住めるはずだったのだけど。ナホが初お泊りだとドキドキしながら来たときに悲しい事故が起こってしまった。  真凛が幼稚園へ上がる前。多分、本人は覚えてない位に小さかった頃のこと。家族揃って夕飯を食べようとした時、ナホの前にだけ違う物が並んでいだ。不思議に思った真凛は目をキラキラさせながら 「それおいしいの?」 と聞いてきた。ナホはこれしか食べられないから、 「うん、おいしいよ」 と答えた。真凛は興味津々で横から手を伸ばしナホの夕飯を味見しようとしたらしい。母親に見咎められた。 「真凛、いけません。自分の食事があるでしょう。ちゃんと食べなさい」 「……はーい」  真凛はおとなしく食べ始めたのだけど。ナホはと言えば初めての体験で少々落ち着きなく、父親や母親の様子を見たり、物珍しく周りを見ていたので手が止まっていた。その隙に真凛は私の夕飯を食べてしまったのだ。  真凛は急に青ざめ、ぐったりしてしまった。 「キャー 真凛!!」 「母さん救急車だ!!」  慌てる両親。どうすることもできずあたふたとするナホ。  真凛は一命を取り留めたがナホと暮らすことは、時期尚早と判断されてしまったのだ。ナホは泣く泣く一緒に住むことを諦めた。
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