静謐な空気の中で

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 責任を感じたナホは、それから父親に頼みこみ、自分の体のバージョンアップをお願いした。しかし、その研究は実に十年の時間を費やした。 「真凛と一緒に食事をとることはできなくなったけれど、間違っても真凛が誤飲するとか、危険な目に合わせずにすむもの」  ナホは充電式の体になった。 寝室に置いたベッドに横になるだけで充電できる。とても便利になった。 「お姉ちゃんのベッド、すごく変わってるね」  真凛がナホの部屋を見回す。 「ベッドにマットレスなくて疲れない?」 「うん。すごく気持ちいいよ」  真凛が興味津々に目を輝かせベッドを見詰める。ナホは、腰に手を置いて、 「真凛、絶対だめよ。試そうとしないでね。人間のあなたが横になっても疲れ取れないし充電できない」 「えぇー、つまんないの」 「万が一、感電でもしたら大事よ。お願いだから私のベッドに寝ようとはしないでね」     ナホは、真凛に釘を差した。  真凛は父親似なのかもしれない。小さな研究者のように色んな物に興味を示した。見つめる目がキラキラしているのでよくわかる。
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