23人が本棚に入れています
本棚に追加
でもね。人間の寿命が短いことはわかってはいたの。父親、母親、真凛まで……
真凛の寿命が尽きた時、ナホのメンテナンスは、真凛の後継のメンバーに託された。だけど丁重にお断りした。もう、ナホの存在理由が無くなってしまったから。
それでも、真凛の手に寄って行われた最後のバージョンアップが素晴らしいもので、それ以降何年もメンテナンスしなくとも、ナホの体に問題が起こることはなかった。
「真凛との約束通り、孫娘の子守もしたわよ」
楽しい思い出もたくさんできた。でもね……
真凛の姉として作られたナホだから。置いて行ったあなたのことをゆるせなかった。だって本当に悲しかったもの。
ナホが目を開けると辺りが暗くなっていた。暗いというより真っ暗闇。どうしたことだろう。
あぁ、もしかしたら、やっと真凛たちの元へ行けるのかしら? あら、でも、アンドロイドは天国ヘ行けるのかしら、ね。
ナホの体に異常が発生したことを報せる通知が研究所に届いた。研究員が急行してナホを素早く回収した。研究所でナホの故障箇所を修理しても、ナホは目覚めることはなかった。
END
最初のコメントを投稿しよう!