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5年前に私が目撃してしまったことで、気にしているようだ。
「あれから、彼女とはココでは会わないようにしていたんだ」
「そう」
──だから? と思った。
「美桜も結婚することだし、もうこの家を売って、マンションにでも引っ越そうかと思うんだが」
「そうなの?」
──私の実家が無くなってしまう、と思うと寂しかった。
「ココは無くなっても実家に違いないから、いつでも帰って来なさい!」
「知らない人との愛の巣になんて行けないわよ」
酷いことを言っているのは分かった。でも、実家なんかじゃない! きちんと会ったこともないのに、受け入れられない。2人で勝手にすれば良い! と思っていた。
すると、
「一度、きちんと会ってくれないか? 今から呼んでも良いかな?」と私を見てから大河を見た。
「美桜さんが良いなら、私は……どう?」
──大河が居るなら大丈夫かもしれない。いずれ会わないといけないなら、一度は会っておかないと……
「分かった!」
父は、お相手の方に連絡をした。来られるまで、話をする。
と、突然大河が……
「もし、お父様が良ろしければ、私がココを購入して建て替えても良いですか?」と……
「「え?」」また、突拍子もないことを……
「美桜さんの思い出の場所でもありますし、他人に渡るより私達が移り住んだ方が良いかと思いまして……」
「大河?」
「美桜は、どう思う?」
「そりゃあ嬉しいけど……」
「じゃあ〜!」
「いや、それならこのまま譲るよ」
「いえ、そういうわけには……」
「いや、構わん! その代わり土地は美桜の名義にしておきたい。良いかなあ?」
「もちろんです」
結局、突然実家が私の名義になり、いずれココに引っ越して来ることになるようだ。
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