とんでもない事件

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こうして、真鍋さんは退社された。 私が選んだせいで、大河が犠牲になってしまった。 役員たちを会議室から見送り…… 「美桜、ありがとう! 心配かけてごめんな」 「ううん、私があの人を選んだせいで、大河に被害が……ごめんなさい」 「ううん、俺は大丈夫だ。嫌な思いをさせたな」 と、抱きしめてくれた。 「ううん」 ジッと大河を見つめると、唇に、あの女の口紅が付いていた。 「ちょっと待って」と、ハンカチにアルコール消毒液を付けて、大河の唇を拭いた。 「あ……付いてたんだ」 「うん。コレで良し!」と言うと、キスされた。 「会社なのに……」 「ダメだった? ごめん」と悲しそう。 「ううん」真鍋さんにキスされたことを気にしてるようだったから、自分からキスをした。 「やっぱり美桜が良い!」 「『大切な彼女が居る!』って言ってくれたんだね」 「ああ〜もちろんだよ!」 「ふふ、嬉しかったよ」 「事実だからな。本当は、大事な婚約者がいる! って言おうか、悩んだんだ」 「ふふ、そっか」 「あ! さっきの録音ありがとうな」 「ううん。でも、大河が『美桜!』って呼んでたのは、役員さん達、気づかなかったのかなあ?」 「あ、本当だな。咄嗟につい、美桜! って呼んじゃったな俺」 「うん、バレてなきゃ良いけど……」 コンコンコン 「はい!」
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