とんでもない事件

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「そろそろ、よろしい?」と、菜津葉だった。 「あ、ごめん。お騒がせしました」 「副工場長が皆んなに誤解を解いてくれてたよ」 「あ、そうなんだ。良かった」 「で、ついでに、部長は? って探してたよ」 「あ、ヤバッ! 行って来るよ」 「うん、気をつけてね」 「うん」 「いや〜ん、見つめ合って、ラブラブ〜!」と菜津葉に冷やかされる。 「あはは」そのまま照れ臭そうに、走って行った大河 「菜津葉、ありがとう」 「ううん。ね〜美桜! もう同棲してるなら、本当に入籍しちゃえば良いのに」 「うん、そうだね〜」 「ん? やっとその気になった?」 「別に嫌じゃないのよ。でも、大河の立場があるからと思って」 「そんなこと言ってたら、また他のパートさんに狙われちゃうよ! 彼くん、案外モテるんだから」 「そうだよね……よく分かった」 「ま、2人が決めることだけどね」 「うん、ちゃんと向き合ってみる!」 「うん、そうして! で、幸せのお裾分けしてね」 「何言ってるのよ、貴方たちの方がゴール近いんじゃないの?」 「あ、タクちゃんのこと年寄り扱いしたな! 言ってやろう」 「そういうわけじゃ……あ、でもそうよね、ハハ」 「絶対、言ってやろう! ハハ」 「さあ、戻りますか?」 「うん、ありがとうね」 菜津葉は、きっと戻りにくいんじゃないか? と思って、迎えに来てくれたんだと思った。嬉しかった。
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