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パートさん達が帰られて、ようやくホッとした。
「今日は、もう帰る?」と聞く大河
「帰るけど……どうして、さっきニヤニヤしてたのか、知りたい!」
「ああ」また、ニヤッとしているだけ。
──そうやって、話してくれないから、1人で色々考えちゃって、不安になるのに……
「真鍋さんの話だったんだよね?」
「うん、そうだよ」
「それなのに、どうしてそんなに笑ってるの?」
「いや……」と、ニヤニヤしている。
「また、戻って来る時に、誰かにタイプなの〜! とでも言われたの?」
「え? 何の話? そんなことないよ!」
──何も言わない大河に、色々勝手に妄想してしまう自分が嫌だ
「じゃあ、何? 副工場長に、お見合いの話でも持って来られた?」
「え? あ〜お見合いではないけど、結婚を勧められた!」と笑っている。
「え?」
副工場長は、私たちのことなんて知らないはずだから、大河に結婚するように! とそういう話を勧める為に、呼び出したのだと思った。
「そうなんだ……」
分かりやすく落ち込んでいるのを見て、大河が、
「え? どうしたの?」
「何でもない……大河が話してくれないなら、私も言わない!」
「分かった! ちゃんと帰ってから話すから」と言う大河。1人で笑っている。
──私たちって、結婚を前提にお付き合いしてて、同棲までしてるんだよね? 婚約者だよね? なのに、上司に違う人を紹介されて、そんなに浮かれてニヤニヤしてるの?
何も話してくれないし……そっか、副工場長に勧められた人が、それだけ素敵な人だったんだ。
なんだ、そっか……じゃあ、もう私たちは、終わりなんだね……
どんどん不安が募り、勝手に悪い方にばかり考えてしまった。
「お先に失礼します」と帰ろうとすると、
「あ、俺も帰るから一緒に帰ろうよ」と……
「変な噂されても困るでしょ? 先に帰る」と、先に出た。1人になりたかったから、朋花と菜津葉にも伝えて、1人先に会社を出た。
すると、大河は、走って追いかけて来たようで、駅で一緒になった。
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