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「追いついた!」と笑っている。
「お疲れ様です」
笑顔なくボーっとしている私に、顔を覗き込んで「ん?」と聞く大河だが、こんな所で話しているのを誰かに見られたら、また面倒なことになる! と思って横を向いて黙っていた。
さすがの大河もおかしいと思ったようで、
「何か誤解してる?」
「そうですか?」
「うん、恐らく!」
「……」
「晩飯どうする?」
「今日は、食材があるので、適当に作ります」
「そう? 分かった! ありがとう」
電車に乗って2駅、最寄り駅から歩く。
「あ、おふくろの店、ちょっと寄ってから帰るね」
「はい、分かりました」
私は、真っ直ぐマンションへと帰った。
部屋に入ると、グッと不安感が押し寄せてきて、気がつくと涙が流れていた。
──誤解って何よ! だから、話してくれなきゃ分からないのに……この1ヶ月半は、なんだったの? 今日のことは、なんだったの? もう、終わりなのかなぁ〜
お風呂にお湯を入れてから、
「さ! ご飯の用意しよう!」
気持ちを切り替えて、気がつけば、冷蔵庫から食材をいっぱい出して、アレもコレもと夢中になって、思いつく料理を片っ端から作っていた。
──もう最後になるかもしれないし……
え? そうなの?
しばらくすると、大河が帰って来た。
「ただいま〜! え! すごい料理の量だなぁ? パーティー?」と言った。
「お帰り。そういうわけじゃ……遅かったね。先にお風呂入って来て!」
「後で良いよ。先に話さなきゃ、誤解されたままだと喉も通らないよ」と笑っている。
「しかし、美味そうだなぁ〜早く食べたい! 手洗ってくるね」
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