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衰弱してるのか、噛みついたりはしてこなくて…
龍の頭をそっと自分の膝の上に乗せ
出血してる箇所を確認する…
うわ、ひどいな…これ…
つぶれてるんじゃなくて、目玉がくりぬかれてる…
まずは、止血しないとね…
持ってきた医療品が"龍"に使えるかは
分からないけどやらなくちゃ…
リュックサックを自分の隣に置き
まずは消毒したけど、目玉が無いからか
しみたりはしてないみたい…
止血剤をガーゼにしみこませ
その目元を優しくていねいに拭う。
龍
「ァア…」
見開いてた片目を閉じて
なんだか、気持ちよさそうに見えるのは
アタシの錯覚かな…
新しいガーゼに、傷薬をつけて
その綺麗になった目元にあてがい
包帯を巻いていく…
アタシ
御山町 瑠璃華
(みやまちるりか)
「よし、出来ましたよ…♪」
"龍"はゆっくりと体を起こして
こちらを穏やかに見つめてくる。
なんか、お座りしてて可愛い…//
龍
『わが名は風ノ尊(かぜのみこと)…
油断してる隙に鬼に片目を奪われた。
そなたが来てくれなかったら
わたしは、死んでいたかもしれない…
…ありがとう…』
頭の中に直接、語りかけてくるような
仏さまのようなおだやかな声に聞き惚れて…
目を閉じてしまったら急に静まり返り
目を開けたときには
その"龍"はもいなくなっていた!
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