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上島カナはクラスの中心にいる、賑やかな女だった。休み時間は机で寝ている生活を送っている僕とはまるで接点もない、それこそ、世界が滅びでもしない限り話すこともないだろうと思っていた。
「ねぇ、下村君もそう思うでしょ?」
何の話だよと思いながら僕が顔を上げると、そこにはアップの上島の顔。
近い。
「ほら、これ」と見せられたのは、件のチェーンメールだった。僕は眠たげに瞼をこすりながらメールをざっと読む。
「あのさ、地球滅ぶんならそもそも助かるも何もなくない?」
目に付く矛盾点を指摘してみせると、あわや乗せられそうになっていたクラスメイトからの「おぉー」という驚きの声。いや、普通に分かるだろ。
しかし、上島だけは一人冷静で、
「あぁ、そうか。確かにそれじゃダメだね」
静かにそう呟いていた。
その日から、上島からのメールが、静かだった僕のケータイを騒がせることになる。
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