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駅前の大通りはヤケになった人達がちらほら見られる。皆、驚くべきことに本当に世界が滅びると思っているのだ。
メールはケータイだけでなくパソコンにも届くようになり、ネット中を騒がせている。いまやちょっとした社会現象だ。ええじゃないかと江戸時代に騒いだ人達もこんな感じだったのだろうか。誰も彼も輪に入って叫んでいたのだろうか。一人残らず?
人混みをかわしながら、受信箱をスクロールしていくと、ずらっと並ぶ送信者上島カナ。どれもこれもあのチェーンメールで、けれど内容は少しずつ違っている。
「皆にメールを送れば皆が助かります!」
だの、
「貴方の友達を救いませんか?」
だの、
「運命の日、皆で手を繋いで空を見上げれば隕石は砕けます」
だのと、随分と希望のある話に変わっていた。誰かがメールを書き換え、そして広めているのだ。
もしかしたら本当に世界を救おうとでも考えている、夢見がちな誰かが。
人混みに流されるまま歩いている内に、気がつけば学校の校庭に辿り着いていた。上島がクラスの皆に集合場所として呼びかけていた場所だ。確かに、大勢が手を繋いで空を見上げられる場所なんてここくらいしかない。
違うんだ、と僕は声に出さずに呟く。
僕はただ、皆が「やっぱり嘘だったんだ」って失望する顔が見たかっただけだ。
あんなメールを信じているわけじゃない。
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