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「ていうか、嘘だって分かったらこの人数どうするのさ。暴動起きるよ?」
「えー、大丈夫だよ。だってこんなに沢山の人達が集まって手を繋げるだなんて、なんか奇跡みたいじゃない? だから、大丈夫。皆笑って許してくれるって」
そう言って上島は笑った。
やれやれと僕は呆れるが、なんとなくつられて笑ってしまう。上島が言うと、本当に許してもらえるのではないかという気がしてくる。
どころか、本当に奇跡さえ起こりそうで。
「あっ!」
どこからともなく声が上がる。
「空!」
上島の声。見上げれば、そこには夜空を駆ける流星の姿があった。
一つや二つではない。一瞬の光が、次から次へと夜空を駆け抜けていく。
流星群? テレビではそんなこと言ってなかったのに。
流星群は更に数を増し、いまや夜空を隠さんばかりの勢いで流れていく。
「ほら、奇跡! 起きちゃった!」
上島がはしゃぐ。繋いだ手をぶんぶんと子供みたいに振り回しながら。
「つまり、僕達が呼んじゃったってこと? それじゃ、あわや世界滅亡の首謀者だよ」
「大丈夫、だってこんなに綺麗でしょ?」
力強く言い切りながら、上島が握る手に力を込めた。
冷たかった僕達の手は、いつの間にか温まっていて、少し汗ばんでるくらいで。
賑やかなのは苦手だ。けれど、たまには悪くないかもしれない。
どちらからともなく手を握り直す。
一際明るい流星が、空を駆けていった。
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