管制との交信

3/4
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
米軍横田基地から123便へ、着陸受け入れ可能との無線が送信される。 123便は横田基地に返信した。 『現在、操縦不能』 123便は、羽田空港に着陸するのか、それとも、位置的に近い横田基地に着陸するのか。 東京コントロールは、123便に意向を確認した。 「123便、羽田に着陸しますか?」 『このままでお願いします』 横田基地からの無線を傍受する。 『こちら横田基地、着陸可能。123便、聞こえていたら機体識別コード5432を発信せよ』 「了解しました。スタンバイ」 123便は横田基地に着陸するのであろうか。 しかし、数分後、123便は千葉県木更津のレーダーサイトによる誘導を要求してきた。 横田基地ではなく、羽田空港に着陸するのだろうか。 「了解しました。羽田空港、滑走路(ランウェイ)22なので、ヘディング090(真東)をキープしてください。現在、コントロールできますか?」 『操縦不能(アンコントローラブル)です』 「了解」 操縦不能のまま、羽田空港に緊急着陸しそうである。 羽田空港の滑走路では、緊急着陸に向けての態勢が整いつつあった。 東京コントロールの所在地は所沢である。 着陸時に必要な通信は、着陸先である羽田空港の管制と直接やり取りさせるべきだ。 羽田管制と123便との通信のために、専用の周波数を使わせた方が良いだろう。 「123便、周波数を119.7に変えてください」 2回呼びかけるも、123便からは応答がなかった。 横田基地も、123便に再度、機体識別コードの送信を呼びかけている。 一方、羽田空港の管制も、123便に呼びかけている。 『羽田空港、横田基地、両方とも着陸可能(アベイラブル)です』 『了解しました』 羽田空港管制が、さらに123便と交信する。 『これからどうするのか(インテンション)、聞かせてください』 我々もそれが知りたい。 123便はどちらに着陸するのだろうか。 しかし、123便からの返信はなかった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!