フライトレコーダー

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フライトレコーダー

**************** 8月12日。 今日は副機長(コーパイ)の機長昇任訓練の日だ。 普通なら機長(キャプテン)は左側の椅子に座る。 しかし、今日は副機長が機長席に座って操縦するのだ。 機長は、久しぶりに右側の副機長席に座る。 自分も以前は、この席で副機長をしていたものだった。 今日、自分の代わりに機長席に座るのは、自分より10歳若い後輩だ。 DC-8では機長をしていた人物である。腕は確かであろう。 今回の機体は、B-747SR400である。 お盆前ということもあり、乗客は500人以上乗っている。 航空機関士はエンジニア部門の教官をしているベテラン。信頼できる。 チーフパーサーは男性。副機長と同い年だ。 その他に、スチュワーデスが11人乗り込む。 東京発大阪行き123便は離陸した。 伊丹空港には、1時間弱で到着する予定。 機長昇格訓練としては、適切な距離と航路である。 副機長の操縦による離陸に問題はない。 安定飛行に移行し、自動操縦(オートパイロット)となる。 離陸してから20分が経過したころ、機体後方から衝撃音が聞こえ、客室高度警報が鳴り始めた。 オートパイロットは解除され、手動操縦となる。 「なんか爆発したぞ」 エンジンを確認する。 しかし、4発とも問題ない。 次に、着陸用の車輪を調べる。 やはり、問題なかった。 しかし、実際に警報は鳴っている。 123便は、緊急救難信号「スコーク7700」を送信する。
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