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今朝、福井さん夫婦が、島のご両親のところへ行くためにフェリー乗り場に行くと、人だかりが出来ていて、映画か何かの撮影をしていたのだそうだ。
福井さんが言うには、有名芸能人がいるかなと思って遠目で見ていたけど、出ている俳優が若い人ばかりで自分が全然知ってる人はいなかったそうだ。残念がりながらも、面白おかしく話してくれた。
「知らない若い子ばかりだけど、みんな恰好いいねえ。頭が小ちゃくて、脚がすごく長いんだよ。イマドキの子はスタイルが違うなあ」
「へえ」
「女優さんなんかは、テレビで見るより100倍はカワイイと思うぞ。もうな、眩しくて目が痛いくらいだった」
「福井さん、大げさだから……」
「いやいや、ホントさ」
「でも、何のロケなんだろ……」
賢人は、それは気になる。福井さんに煽られたのか、何時になくミーハーな気分になってきた。
「若い子ばっかりだから、青春もの? 恋愛もの? よくわかんないなあ」
「ふーーん」
「スタッフっぽい人に聞いたら、今日は早朝だけだったみたいだけど、明日は一日中してるって言ってたよ」
「行けそうだったら行ってみようかな……」
「おう、そうしなさいよ。フェリーを貸し切りにしていた訳じゃないから、チラ見くらいは出来るかもよ」
福井さんはそう言って、またサウナに戻っていった。そういえば、1時間くらいかけてサウナに入るって言っていたのを賢人は思い出した。本当にここの住人は風呂命の人が多い。
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