6 ロケ現場の手前で

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 そうやって賢人が意識してしまうのは、ターがあんなことを言うからだ。賢人の好きなタイプだよね、と冷やかされたのを思い出し、彼と目を合わせられなくなる。  もうなんだよ、と心の中でターに八つ当たりをした。  そんな賢人のヤキモキなど当然分かるわけもなく、彼は気軽に話しかけてきた。 「勉強大変だろ?」 「そうでもないです。……あんまり難しくないし」 「へえ。頭いいんだ」 「……そんな、言い方……」 「何? 頭がいいことや勉強が好きなのって、スゲーいいことじゃん。俺なんか身体を動かす方が得意なんだけど、あの時もっときちんとやっとけばって思うこと多いぜ」 「そうなんだ……」  肯定的な言い方をされると、賢人は気恥ずかしくなった。ちょっとかっこいい人に言われたので、余計にどうしたらいいか分からなくなり、言葉が出なくなった。 「大人になってくると価値が判るよ」 「……そうかな」 「好きな事には自信を持てばいいって」  貰ったドリンクに口を付けて見上げると、スポーツマンさんは自分の分をゴックゴクと飲んでいる。拭いてもその下から汗が出てくるという感じがする。見るからに健康そうで、いっそう眩しい。 「おーーーーい、ダテちゃん」  ロケ隊の人混みの方から、声がした。 「ダテちゃーーーん。どこいんの?」 「あ、ヤベッ」
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