507人が本棚に入れています
本棚に追加
そうやって賢人が意識してしまうのは、ターがあんなことを言うからだ。賢人の好きなタイプだよね、と冷やかされたのを思い出し、彼と目を合わせられなくなる。
もうなんだよ、と心の中でターに八つ当たりをした。
そんな賢人のヤキモキなど当然分かるわけもなく、彼は気軽に話しかけてきた。
「勉強大変だろ?」
「そうでもないです。……あんまり難しくないし」
「へえ。頭いいんだ」
「……そんな、言い方……」
「何? 頭がいいことや勉強が好きなのって、スゲーいいことじゃん。俺なんか身体を動かす方が得意なんだけど、あの時もっときちんとやっとけばって思うこと多いぜ」
「そうなんだ……」
肯定的な言い方をされると、賢人は気恥ずかしくなった。ちょっとかっこいい人に言われたので、余計にどうしたらいいか分からなくなり、言葉が出なくなった。
「大人になってくると価値が判るよ」
「……そうかな」
「好きな事には自信を持てばいいって」
貰ったドリンクに口を付けて見上げると、スポーツマンさんは自分の分をゴックゴクと飲んでいる。拭いてもその下から汗が出てくるという感じがする。見るからに健康そうで、いっそう眩しい。
「おーーーーい、ダテちゃん」
ロケ隊の人混みの方から、声がした。
「ダテちゃーーーん。どこいんの?」
「あ、ヤベッ」
最初のコメントを投稿しよう!