2 昼休みの駐車場

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2 昼休みの駐車場

 タブレットで受けるオンデマンドの授業は、教師の話術が巧みで、興味を持って聴けば眠くなることは無い。さっきの3コマ目は苦手な古文だったが、丁寧な説明をする教師なのが幸いして、楽しく聴けた。  むしろ地歴のレポート提出の期限が迫ってきているので、そっちの方が気にかかる。平日はバイトも無いので、午後からそれに充てても良いかもしれない。  午前中の賢人は、高校生をしている。通信制高校のネット授業は、自分の好きな時間に学習出来るのがウリだ。でも本当に好きな時間にすることにしてしまったら、自分のような人間は間違いなくダラけるという自覚はある。  だから、午前中に必修を3コマ取るようにしている。それだけは絶対に続けようと決めたタスクだ。そもそも、賢人は勉強嫌いではないのだ。  時計を見たら、12時半を過ぎていた。今朝は朝食代わりに野菜ジュースを飲んだだけだったので、さすがに腹が減っている。  賢人の暮らすマンションから一番近い飲食店は、回っていない寿司屋なので高校生には敷居が高い。母親と一緒に一度だけ行ったことがあるだけだ。そこを外すと県道まで出ないと何もない。このマンションの周りはこじんまりした分譲住宅地で、それ以外は小学校があるくらいなのだ。  その代わり、少し自転車で走れば何でも売っている店がある。
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