3 遠くにいる友だち

1/3
前へ
/1127ページ
次へ

3 遠くにいる友だち

『マジ!?』 「マジで」  賢人の今いちばんの友だちは、1000キロ先にいる。会いに行こうと思ったら、羽田まで一旦飛んで乗り換えて、今日中に辿り着くだろうかという距離だ。もしかしたら、直接会うことは、一生無いのかもしれない。  賢人の高校には、一応クラスルームがある。週1回担任と話をしたり、全国にいるクラスメートとオンライン上で会話をすることが可能だ。  クラスメートとの会話は任意参加なので、賢人も気が向けばという程度には参加していた。そんなペースでも、何となく話をするような相手は出来るものだから不思議なものだ。ネットで会うだけのベッタリしない関係だからかもしれない。  そうやって出来た友人から、自分が入っているサークルに面白いやつがいるからと紹介されて、ターと知り合った。  友人の見立ては確かで、初対面なのにターとの話は盛り上がり、その後も時々こうやって通話アプリを使って、ふたりで話をするようになった。ターは2つ年上の高3だが、向こうから敬語ナシと言ってきたので、賢人もそれに従った。  全部リアルではなくネット上での話で、賢人にとっても、こういう形で出来た友だちは初めてだ。  今日の昼間のことも、ターと話すには格好のネタになった。  ターはオタクが入っていて、賢人が全く興味がないアニメやマンガの話を延々としたりする。一方で、文学やスポーツにも詳しいし、コンピュータやネットの話もいろいろ教えてくれる。
/1127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

506人が本棚に入れています
本棚に追加