3 遠くにいる友だち

2/3
前へ
/1127ページ
次へ
 時には賢人には難しい話もあるが、それが不思議とつまらなく無い。ターが頭脳明晰だからというだけでなく、きっと自分と波長が合うのだと賢人は思っている。  それに、会話のふとしたきっかけで、お互いに「素の自分」が出せる相手だと知った。それが大きかった。人見知りの賢人も、そしてターも自然体で話すようになった。 『私も見たかったよう』 「うん、けっこうイケメンだった」 『ね、どんな感じ? アイドル系?』 「ターは割とキレイ系が好きだよね。多分一人はそれに近い。雑誌のモデルみたいだったもん。もう一人は、スポーツマンって感じ」 『えーー、どんなスポーツ系? サッカーっぽい? 武道?』 「うーん、どうだろ……水泳? けっこう逆三角な感じ」 『わ、賢ちゃんはそっちがタイプでしょ』 「なんだよ。違うって」 『あー、マジ見たかった。というか、代わってほしいよ。賢ちゃんちの方は、おしゃれでいいなあ。その上イケメン二人組か。もうお祭だね』 「ははは」  ターは、賢人の前では女の子っぽい話し方をする。これが『素』なのだそうだ。かといって別に女性になりたいわけではないらしい。ターの方からゲイなんだと賢人には教えてくれた。結構複雑な内面なのだと思う。  そして、賢人も同性に惹かれる質だ。  ターに「自分も同じ」と言ったら、「やっぱり」と、うんうん頷かれてしまった。そんな素振りは見せたつもりは無かったのに、どうして分かったのだろうと今でも思う。
/1127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

506人が本棚に入れています
本棚に追加