4 福井さん情報

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4 福井さん情報

「え、あんなところで?!」 「そうなんだよ。俺もびっくりしてね」  件の地歴のレポート作成は難航してしまい、あれから数日かかることになった。賢人は、元が凝り性なのであれもこれも詰め込みたい。一方で、文章を書くのは好きだが、まとめるのがイマイチ不得手なのかダラダラ長文になってしまう。収拾がつかず、どんどん時間がかかってしまったのだ。  結局(きり)が付いたのは、今日の夕方になってからだった。それでも、なんとか締め切りまでにはまとめたので、我ながらスゴイと賢人は自分自身を褒めることにした。  取り合えず、休憩がてらに最上階の大浴場へ行くと、福井さんがちょうどサウナから出てきたところに遭遇した。  福井さんは夕食前にひとっ風呂浴びる習慣のおじさんだ。軽く身体を洗ってから賢人が露天風呂へ行くと、屋外ベンチで休憩していた福井さんが話しかけてきた。  去年定年退職した福井さんは、半年くらい前にこのマンションを買った人だ。近くの島に奥さんの実家があり、高齢になった両親の世話をしに来る際の基地のつもりで買ったのだが、ここ(特に大浴場)の居心地が気に入ってしまい、入りびたることになったと以前話してくれた。真面目そうな見た目に反して、話好きの面白い人だ。 「賢ちゃんも見に行ってくるといいよ。面白かったよ」 「へえ……」
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