第3章 見えない足音

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そこまで言葉に吐くと、急に視界が、天井に向いている。 気づけば、私は友也にソファーに組み敷かれていた。そして、友也はネクタイを外すと、私の両手首を縛り上げる。  「やめてっ、友也」 何をされるのか分かって、ますます怖くなる。 「好きだよ……美織が、誰よりも」 友也は、ゆっくりと唇を首筋に這わせていく。身体は、小さく震えて、声が掠れる。 「いや……やめて……こんなこと……友也らしくない」 「僕らしいって何?」 「友也……」 そう呟いた友也の顔が、哀しそうで、私は、心が痛くなる。 「僕だって嫉妬くらいするよっ。美織しか、いらない!美織は、僕のものだからっ」 「私は……」 友也の顔が、涙で歪んでいく。雪斗から借りたワンピースは脱がされて、すぐに足を大きく開かされる。 「美織を愛してる……もう僕だけ見てよ」 「やめっ……痛っ……」 友也が、私のナカに入り、すぐに揺さぶられる。 ーーーーこんなの愛なんかじゃない。 乱暴されてるのと同じだ。身体も心もついていかない。痛い。苦しい。悲しい。友也が、分からない。もう心はぐちゃぐちゃだ。 (やめて……) (助けて……雪斗……) どの位、揺さぶられていただろうか。 友也は、肩で息をしながら、私から、抜け出すと、ようやくネクタイを解いた。 私は、ただ、天井を眺めたまま、溢れ落ちる涙の音だけを聞いていた。 「……泣かせてごめん……こんな風に抱いてごめん……それでも……美織しか……愛せない。いらないんだ」
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