第3章 見えない足音

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「……雪斗……どうして……私のこと……気にかけてくれるの……?」 雪斗が、私のおでこにコツンと額を当てる。 「……さっき焼き鳥屋の帰り道も言ったけど、正直、俺もわかんない。でも……多分美織が、好きなんだと思う。気になって仕方ないし……さっきは、美織の恋人みて嫉妬したし」 そして、額を離すと、雪斗が、私の頬に触れる。 「美織は?俺のことどう思ってる?」 雪斗の瞳を見れば、心は、引き寄せられていく。星が堕ちるように、波に攫われるように。 「……私は……心が……壊れそうなくらい痛くなるの」 「え?」 「雪斗と居ると、雪斗の笑顔を見ると、心が、ぎゅって痛くなって、手を伸ばしそうになるの……」 「伸ばしてよ」 雪斗は、私のことをギュッとキツく抱きしめた。雪斗の胸元から聴こえる雪斗の鼓動と甘い匂いに、ほっとして、力が抜けていく。 「美織が、手を伸ばしてくれるなら、俺は、離さない。どこにも行かないから」 私は、少しだけ身体を離すと雪斗の瞳をじっと見つめた。 そして、その頬に触れる。 「雪斗……」 触れた指先から、雪斗の体温が伝染して、涙が溢れそうになる。もう離れたくなくて。雪斗だけを見つめていたくて。 「美織が……好きだよ」 「雪斗……側にいて」 私達は、静かに唇を重ねると、一つの毛布の中で抱き合って眠った。
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