第4章 美織と美野里

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ハンドルを握る雪斗を眺めてから、私は、スマホを確認する。友也からの連絡は、まだない。もしかしたら、送りづらくて悩んでいるのかもしれない。  『僕だって嫉妬くらいするよっ』 友也の怒りと哀しみに満ちた顔を思い出すと、呼吸が、苦しくなりそうだ。 友也にあんな顔をさせたのも、友也が、私を乱暴したのも、私が、雪斗に惹かれてしまったからだ。だから、私は、あんな事をされても、友也だけを責めることなんてできない。友也だけを見つめていられたら良かったのに。友也が、ずっと私だけを見つめて大切にしてくれていたように……でも、もう後戻りはできない。 ーーーー私の心は、雪斗にもう持っていかれてしまったから。 「大丈夫?」 「あ、うん、大丈夫だよ」  私が、シーチキンのおにぎりをパクンと一口食べると、信号待ちを、していた雪斗がククッと笑う。 「あ……シーチキン。白だから?」 「あはは。うん、美織って白いもの、本当好きなんだなって」 雪斗は、クリームパンを食べ終わると、缶コーヒーで流し込んだ。信号待ちで停まると、雪斗が私の瞳を捕まえた。 「ね、白いもの好きなんだったらさ、俺の事も好きになってよ」
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