第4章 美織と美野里

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「え?」 「俺の名前も、白いもの、ついてるでしょ。」 ーーーーどくん、と心臓が大きく跳ねる。 雪斗の声が、重なる。あの日の、あの子に。 私は、騒ぎ出した胸元を握りしめていた。 「ぷっ、ごめん、嘘。困らないで」 「えと……」 「今は、これで充分」 雪斗は、私の頭をくしゃくしゃと撫でると、またハンドルを握った。 何だろう。 どうしてなんだろう。 雪斗と一緒にいると、忘れてしまっている(こお)った記憶が、溶け出すような感覚がする。 『……じゃあ、おれのなまえは……』 あの日見た、真っ白なスノードロップの花と共に、あの男の子の声が聞こえた気がした。
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