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「いや、俺こそごめん。返答に困るよな」
俺は、美織を腕に閉じ込めたまま、コスモスに視線を移す。4年ぶりのコスモスは、もっと哀しい記憶に苛まれるのかと思っていたのに、俺は、美野里よりも、今は、心が美織だけを求めて、美織だけを欲してる。
「ありがと。あったかかった」
このままじゃ、美織を攫って何処かに行ってしまいたくなりそうだ。
「私も……雪斗の鼓動に安心した」
はにかむように笑った美織の髪を、俺は、くしゃっと撫でた。そして、俺は、スラックスからスマホを取り出した。
「一眼じゃないから、どんだけ綺麗に撮れるか分かんないけど、美織とコスモス撮ってあげる」
「えっ……恥ずかしいよ」
「大丈夫、俺、撮るの上手いから、実物より綺麗に撮るし」
「もうっ、雪斗……」
美織が、頬を膨らませながらも、白いコスモスの前で立ち止まった。
俺は、少しだけ距離を取って、スマホを構える。
太陽の光の角度を確かめながら、スマホを持つ角度を微妙に変える。スマホの向こう側の美織は、緊張しているのか、困ったような顔をしている。
「笑って」
「無理だよっ……やっぱり恥ずかしい……」
美織が、耳に髪をかけながら、俯いた。
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